教科書AIワカル 利用・運用ガイドライン
1. 目的
本ガイドラインは、東京書籍株式会社の「教科書AIワカル」について、学習者が安心して学びを深められる環境の提供と、学習者の学びを最大限支援することを目的に、以下について整理したものです。
安全性の確保:不適切なコンテンツの排除、個人情報保護、生成AI利用に伴うリスク管理。
学習効果の最大化:教科書の内容を踏まえた的確なフィードバックと対話型レッスンの運用。
透明性と信頼性:利用者(学習者、保護者、学校)と開発側との共通理解の形成。
正しい利用意識の醸成:生成AIは学習補助ツールであり、正しい理解と目的意識を持って利用することの重要性を明示する。
2. 適用範囲と利用対象
本ガイドラインは「教科書AIワカル」の利活用全般、および開発・運用に適用されます。
利用対象について
本アプリは中学生以上を対象とし、小学生以下の利用は認めません。
18歳未満の利用者は、必ず保護者または学校など大人が管理するアカウントを通じて利用するものとします。
開発基準としての活用
本ガイドラインは、アプリの設計・開発、運用にあたり、開発チームが遵守すべき内部基準として運用します。
利用者への情報提供
利用者には、アプリ内のヘルプ、チュートリアル、FAQ等を通じ、本ガイドラインの主要ポイントを分かりやすく説明し、安心して利用できる環境を提供します。
3. 教科書AIワカルについて
3.1 アプリの概要
基本コンセプト 教科書AIワカルは、教科書に基づいた学習効果の向上を目的とする学習補助サービスです。生成AIを活用することで、学習者一人ひとりの学習ニーズに合わせたコンテンツ生成や、対話型のレッスンを提供します。
主要機能
機能1: 生成AIによるコンテンツ提供:教科書の内容に基づいた問題、解説、例文、英作文添削などを、学習者のリクエストに応じて即時生成。
対話型レッスン:本文読解、文法、表現、活動、実践といった各学習フェーズを、AIが対話を通じて順次サポート。
カスタマイズ機能:ユーザーがAIの口調、キャラクター、アイコンや背景画像などを、自身の学習スタイルや好みに合わせて調整可能。
安全・安心な運用:不適切なコンテンツを防止するためのガードレール機能やNGリスト、データ管理・プライバシー保護を徹底。
学習補助ツールとしての役割 教科書AIワカルは、あくまで学習の補助サービスとして設計されています。生成AIは教科書の内容理解を深め、学習効果の向上を支援するための手段であり、AIとの対話そのものが目的ではありません。
対応教科について 2025年は「中学校英語」を中心とし、将来的に他教科への展開を予定しています。
3.2 使用場面
教科書AIワカルは、以下のような使用場面において活用できます。
予習と復習
予習:授業前に、対象教科書の学習を進める際、生成AIが提供する簡単な解説や問題演習により、全体の流れや重要ポイントを把握。
復習:授業後、自主学習時に生成AIが出題する確認問題や選択式クイズを通じて、授業内容の定着を図る。
対話型レッスンでの活用
本文理解の強化:音声やテキストによる解説を活用し、教科書本文や新出単語の理解、発音などを深く理解。
理解度チェック:選択肢問題や、教科書の根拠を問いかける形式の質問により、学習者自身が理解度を確認し、フィードバックを受け取る。
実践的なアウトプット活動
英作文の添削:生成AIが提供する例文を参考に、学習者自身が作成した英作文の添削・改善を行い、表現力や文章力を向上。
シミュレーション学習:実生活のシチュエーション(例:旅行、買い物、レストランでの注文など)を想定した対話型シミュレーションで、実用的なコミュニケーション能力を養う。
個別最適で柔軟な学習支援
個人の好みに合わせた調整:AIの口調やキャラクター、フィードバックのトーンを利用者がカスタマイズし、自分に合った学習環境を構築。
進捗管理やボーナス:日々の学習回数や、学習進捗についてはアプリ側が自動的に管理。学習内容に応じたボーナス機能も。
3.3 教科書連動型コンテンツ
教科書連動の原則
本アプリは、教科書発行会社が提供する強みを活かし、教科書の内容に密接に連動したコンテンツを提供します。
コンテンツ更新ルール
教科書内容が改訂された場合、速やかにアプリ内のデータやコンテンツをアップデートし、常に最新の教科書情報との整合性を保持します。
信頼性の向上
教科書連動型の運用により、利用者は正確かつ信頼性の高い学習情報を受け取ることができ、安心して利用できます。
4. 教科書AIワカルと生成AI
教科書AIワカルは、教科書の内容に基づいた正確かつ柔軟な学習支援を実現するため、最新の生成AI技術を採用しています。生成AIの活用により、学習者一人ひとりのニーズに応じたパーソナライズドな回答や解説を、柔軟かつ即応性高く提供します。
4.1 生成AIの概要
回答生成の仕組み 教科書AIワカルでは、利用者が入力した質問やリクエストに対して、生成AIが教科書内容や関連情報に基づき、即時に回答や解説、問題文を生成します。これにより、各学習者に適した情報提供が実現されます。
生成AIとは 生成AIは、大量のテキストデータを学習して、文脈やパターンを理解し、自然な文章を自動生成する技術です。この技術を活用することで、個々の学習進度や理解度に合わせた、柔軟かつ双方向の対話型学習体験を提供します。
4.2 生成AIを使用する意味と向き合い方
生成AIの導入には、教科書の内容に基づいた学習支援において、以下のような多くの意義があります。
個別指導とパーソナライズド対応
学習者一人ひとりの質問内容や理解度に応じて、最適な回答や解説を生成。従来の画一的な学習教材では得られない、個別最適化された学習支援を実現します。
柔軟かつ即応性の高い回答生成
リアルタイムで利用者の入力に反応し、即座に回答を提供するため、学習中の疑問をその場で解消でき、学習の流れを中断することなく進められます。
対話型・双方向型の学習体験
利用者と生成AIとの対話を通じ、疑問の解消だけでなく、確認問題やフィードバックを交えた双方向のコミュニケーションが可能となります。これにより、学習者自身が主体的に学ぶ姿勢を養い、深い理解と定着を促進します。
柔軟なカスタマイズ機能との連携
生成AIの応答内容は、利用者がカスタマイズ可能なAIの口調やキャラクター設定と連動し、学習者のモチベーション維持や個別の学習スタイルに合わせた指導を実現します。
4.3 教科書AIワカルとの向き合い方
学習補助サービスとしての位置付け
教科書AIワカルは、あくまで教科書の理解を深め、学習効果を向上させるための補助サービスです。AIとの対話自体が目的ではなく、学習プロセスの一環として利用してください。
正しい理解の促進
利用者は、初回利用時のチュートリアルやFAQを通じて、生成AIの仕組み、利点、そして限界を正しく理解することが推奨されます。これにより、生成AIが提供する情報を参考としつつ、最終的な学習判断を自分自身で行う意識を養ってください。
利用上の注意点
教科書AIワカルから出力される内容には、誤りや不足がある可能性があります。必要に応じて、教員や保護者と相談するなど、慎重に内容を吟味しながら利用してください。
5. 利用者の安全・安心およびリスク管理
本セクションでは、利用者が安心して本アプリを活用できるための安全対策と、生成AI利用に伴うリスクへの包括的な管理・対応体制を示します。
5.1 安全対策とコンテンツモデレーション
プロンプト制御と回答最適化
利用者が学習に集中できるよう、生成AIはプロンプト制御を通じて学習目的に最適化された回答を生成します。
学習と直接関係性の低い質問(例:おすすめのゲームなど)については、回答を控えるか、学習関連の情報提供へ誘導する制御措置を実施しています。
ガードレール機能の適用
OpenAI Moderation などのツールを活用し、攻撃的、差別的、不適切な表現が含まれるコンテンツは自動的にブロックします。
NGリストの運用
不適切と判断された入力および出力のパターンについて、個別にNGリストを作成し、同様のコンテンツが再生成されないよう管理します。
通報対応体制
利用者からの通報を受け、速やかに内容を精査し、必要に応じてNGリストへの追加や該当コンテンツの停止など、迅速な対応を行います。
5.2 AI出力内容の検証プロセスの強化
事前フィルタリングによる検証
AIが生成した回答は、システム内の自動検証アルゴリズムによって「不適切表現の検出」を行い、初期段階で問題のあるコンテンツを排除します。
リアルタイムエラーモニタリングと報告機能
利用者(教員、保護者、または学習者)が不適切な出力を発見した場合、アプリ内の報告ボタンまたはフィードバックフォームを用いて、リアルタイムでエラーや問題を報告できる仕組みを設けます。
5.3 プライバシー・データ管理
データ活用の明確化
入力データおよびAI出力データは生成AIの学習に使用されず、運用目的以外での第三者に対する提供は一切行いません。
データの保管と管理
利用者の入力内容、AI出力、利用状況ログ、学習進捗情報など利用者に関するデータは、当社が管理するセキュアなクラウドサーバー上に保存されます。
利用規約とプライバシーポリシー
会員登録前に、契約者(保護者または学校)に対し利用規約およびプライバシーポリシーを提示し、事前に同意を取得します。
契約者は、利用者(学習者または教員など)に対し、その利用開始までに、利用規約およびプライバシーポリシーを提示するなど必要な説明を行ってください。
利用者または第三者の氏名や住所等の個人情報の入力は必要最小限にするようにしてください。
5.4 リスク管理と緊急対応
緊急対応フロー
問題発生時には、直ちに該当コンテンツの生成を停止し、原因調査および再発防止策を速やかに講じる対応フローを整備しています。
定期的なリスク研修とガイドライン更新
開発・運用チーム向けに、生成AIに関する最新のリスク事例や対策についての研修を定期的に実施し、フィードバックや新たなリスクに基づいてガイドラインを随時更新します。
6. 教師、保護者、教育委員会の役割
生成AIを安全かつ効果的に活用するためには、大人がその仕組みとリスクを正しく理解し、適切な管理体制を整えることが不可欠です。保護者、教師、そして教育委員会がそれぞれの役割を果たし、連携して運用することで、学習者にとって安心・安全な学習環境が実現され、生成AIの持つ可能性を最大限に引き出すことができます。以下は、各立場の具体的な責任と実務上の役割を明確にし、適切なリスク管理と運用の実現を目指すものです。
6.1 教師の役割
AI出力内容の活用指導 学習者に対して、AIが生成した回答を単に受け入れるのではなく、その内容を自ら検証し、考察する姿勢を育むよう指導する。
授業内フォローアップ 授業前後の学習活動において、必要に応じた補足説明や訂正を行う。
フィードバックの提供 AIの利用状況や出力内容に関する改善点・疑問点を把握し、定期的に運用担当者や教育委員会と共有する。
6.2 保護者の役割
家庭学習時のモニタリング 子供のAI利用状況を把握し、学習においてAIの出力内容をそのまま鵜呑みにしないよう、子供と共に内容の検証や考察を促す。
疑問点のフォローアップ 子供がAI利用中に抱く疑問や不安点を積極的に確認し、必要に応じて運営側にフィードバックする。
利用ガイドの理解促進 本ガイドラインの趣旨や利用上の注意点を理解し、家庭内でのAI活用が安全かつ効果的に行われるよう努める。
6.3 教育委員会の役割
運用方針の策定・監督 学校全体でのAI利用に関する統一的な運用方針やガイドラインの策定、更新を行い、全体の安全・効果的な運用を監督する。
情報提供と研修の実施 教師および保護者に対して、AIの仕組みや安全な利用方法、最新の運用状況について定期的な情報提供や研修会を開催する。
フィードバックの収集と改善支援 現場からのフィードバックを集約し、必要な改善策を関係者と協議の上、運用ガイドラインやシステム改善に反映させる体制を整備する。
7. フィードバック収集と改善プロセス
継続的なモニタリング
システム運用中は、生成AIの出力、利用者からの通報、フィードバックを常時監視し、リスク状況を継続的に把握します。
フィードバックの反映
収集したフィードバックを基に、リスク管理対策の効果を評価し、必要な改善策を迅速に実施する仕組みを整備します。
定期的な見直し
ガイドラインおよびアプリ運用ルールは、技術進歩や利用状況の変化に応じ、定期的に見直し・更新します。
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